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ガルバリウム鋼板による外壁カバー工法工事も、いよいよ大詰めです。このたび、約1ヶ月前に取り外し、東北の職人の手で美しい銅板張りに仕上げていただいた「懸魚(げぎょ)」が戻ってきました。
私が不在の間、身内の大工2名が地上約18mもの高所で行った取り付け作業の様子とともに、懸魚に込められた深い意味や由来についてご紹介します。
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懸魚(げぎょ)の由来と意味:なぜ屋根に「魚」を掲げるのか
懸魚は、日本の伝統建築において単なる装飾以上の重要な役割を担っています。
1. 「水」の力で火災から建物を守る
「魚を懸ける」という字の通り、水に縁のある魚を屋根に掲げることは、火に弱い木造建築を火災から守る「火伏せ(ひぶせ)のまじない」です。囲炉裏の自在鉤(じざいかぎ)に魚のデザインが使われるのも、同じく「火を制御する」という願いが込められています。
2. 中国から伝わった抽象美
社寺で見かける懸魚が魚の形に見えないのは、中国から伝わった時点で既にデザインが抽象化されていたためです。写実的な「魚」ではなく、様式化された装飾美として発展を遂げました。
3. 造形に宿る魚の名残り
現代の形も、よく見れば「尾びれ」のラインを模した曲線や、「うろこ」を象徴する彫刻など、随所に魚のディテールが息づいています。
4. 「六葉(ろくよう)」:水を呼び込む装飾金具
懸魚の中央にある六角形の金具は「六葉」と呼ばれます。6枚の葉や花弁を象り、中心の突起(樽の口)を栓に見立てることで、いざという時に「水が出る」ことを連想させる、さらなる火伏せの祈りが込められています。
現場レポート:銅板張り懸魚の取り付け工程

3ピース構造の復元と六葉の新調
取り外し時は3ピース構造だった懸魚ですが、銅板を張っても1ピースにまとめず、元の通り3ピースで帰ってきました。これにより、高所での精密なフィッティングが可能になります。

今回、六葉は傷みが激しかったため既製品へ交換。オリジナルよりも細やかな装飾が施され、格調高い仕上がりになりました。
異種金属接触腐食(電食)への対策




取り付けにおいて最も重要なのが「固定具の選定」です。鉄が銅に直接触れると、化学反応(電食)によって鉄が腐食し、融けてしまいます。 今回は耐久性を最優先し、ステンレス製の六角コーチスクリューとコーススレッドを使用して確実に固定しました。
高所18mでの精密な作業

現場は地上約18m。東側から作業を開始します。






裏からビスで揉んで固定します。




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センターパーツの固定: 最も大きな中心パーツから取り付けます。
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サイドパーツの調整: 右側、左側の順に固定。軒天のガルバリウム鋼板が干渉する部分は、裏あて木を微調整して収まりを良くします。
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仕上げ: 最後に中心へ六葉を差し込み、裏側から固定して完了です。









続いて西側も同様に作業を行い、東西ともに無事、美しい銅の輝きを放つ懸魚が復活しました。



懸魚本体からその中心の「六葉」に至るまで、すべてに「水」にまつわる細やかな意味が込められている日本建築。先人の知恵と職人の技術が合わさった姿は、リフォーム後の住まいを長く、力強く守ってくれることでしょう。
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